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日本古典文学『たけくらべ』-GROWING UP- 小説・シナリオ形式 創作

ポートフォリオ用
小説とシナリオ形式
(N=ナレーション)


美しい表紙で読みたい たけくらべ

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1つの作品を小説とシナリオ、2つの形式で書いています。過去を回想する書簡独白体で綴っています。パラレルワールド(並行世界)のミュージカル風にしたく、Nを使っていますが、通常は多用しないようにしています。原稿用紙で書いたものを、ブログで見やすいよう編集しています。

ピエール・ショデルロ・ド・ラクロ著のフランス古典小説、危険な関係 (角川文庫) を2018年読了。さらに実写化された韓国映画、ペ・ヨンジュン×チョン・ドヨン×イ・ミスク主演の スキャンダル デジタルリマスター版(R15+編集版)(字幕版) を鑑賞。書簡独白体を参考にしました。

2013.12.11 シナリオ
2024.01.13 小説執筆


水仙の花びら アートポスター
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~ も く じ ~
・小説形式
・シナリオ形式


日本古典文学
『たけくらべ』-GROWING UP-
樋口一葉(原作)
writermiyu(小説・脚本)

たけくらべ
「樋口一葉全集第二巻」後記
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美しい表紙で読みたい たけくらべ

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【あらすじ】
明治の小説家、樋口一葉の短編小説『たけくらべ』の日本美あふれる世界観を大胆に脚色、SFリメイク。花魁・美登利(みどり)が銀河で歌い舞う、新解釈ディーヴァ伝説。古今東西、今日まで読み継がれてきた不朽の古典文学が今、誰も見たことのない形で躍動する。吉原の廓に住む14歳の少女美登利と運命の少年藤本信如との恋を中心に、東京の子どもたちの生活を吉原を背景に描き出した作品。子どもから大人に移り変わる少年少女の心理を小説にすることは当時前例のない試みであり、一葉の名を不朽にした。


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【小説形式】
〈主な登場人物〉
美登利 みどり(年齢不詳)花魁
信如 しんにょ(年齢不詳)僧侶

美登利より、信如宛て
『娼婦に誠あり』。花魁道中、ひと花咲かせてみせましょう。姉と同じ定めと知りつつ、姉以上の名声をと。汚辱にまみれ、それが自分の生き方だと思っておりましたの。蝶よ花よと持て囃されど、生気のない同じ顔、同じ籠の鳥達。厳しい大人の世界。それが恋だと気づかぬ内に、貴方は行ってしまったのですわ。聖と俗。永遠に交錯することのない世界に身を分かつ二人。何も言わずに水仙の花を差した貴方を正直私わたくし、憾うらみましてよ。

信如より、美登利宛て
俗世界に身を染める僧侶のわが父を恥じておりました。僧になる宿命さだめの私にとって、それはまさに青天の霹靂だったのです。無常な時間ときの流れ。凛々しく美しい無垢な人、水仙のような女ひとよ。切れた下駄の鼻緒。姿を見せず恥じらう貴女。子どもの不器用な恋でした。今では手の届かぬ世界の貴女に、ひと目逢いたいと思うのは罪でしょうか。私が貴女の愛の僕しもべであることに偽りはないのですよ。今も、これからもずっと。

美登利より、信如宛て
幾多の腕かいなが私の體からだを擦り抜け、永遠とこしえの闇を過ごしたことでしょう。華やかな檻。隙間から差す月光。手折たおられた水仙にわが身が苛まれるのです。好きだと言えぬ儘、寂しくも美しい水仙の花を胸に生きてきたのですよ。儚い浮世の世界で。今日という輝かしい日を、私一生忘れませんわ。何と感慨深いことでしょう。美登利一世一代の花魁道中、どうか見ていてくださいまし。きっと、きっと約束しましてよ。信さん。

信如より、美登利宛て
黄色の水仙の花言葉『愛に応えて』。そう、私は想いに応えたかったのです。『私のもとへ帰って』という、もうひとつの花言葉に託して。二度とは逢えぬ人と知りながら。風に乗ってどこからともなく、楽師らが奏でる音曲が響いてきます。人々の熱気で、今日は町が華やいでいるようです。ああ、あれは貴女でしたか。いよいよなのですね。花魁道中の曲が流れています。伝説の花魁をひと目見ようと皆、色めきたっているのですね。


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美登利より、信如宛て
今日は天気にも恵まれ、本当に良かったですこと。長い間この日を待ち望んでいました。大黒屋の玄関前に人だかりがしていましたの。見物客の群れには本当に驚きました。めかし込ませた禿や振袖新造も供に連れて参ります。街内を練り歩くのが私の夢でしたのよ。踵の高い下駄を鳴らし、堂々と闊歩するのが。ああ、遂にもうひとつの悲願も叶えられるのですね。美登利一世一代の花魁道中、御覧に入れます。皆の衆、とくと御覧あそばせ!

信如より、美登利宛て
やはり私は父を尊敬出来ません。私財を貯め込んだ欲深い生臭坊主と世間に顰蹙を買っているのに、意に介する素振りも無いのですよ。龍華寺の住職であるというのに、わが父ながら心から恥じております。父から僧侶の学校へ行けと言われました。僧侶の修行の為です。堪らなくなった私は、貴女の家の門に水仙の造花を差しました。私にはそうする事しか出来なかったのです。貴女の居ない現うつつの世に、今更何の未練が在りましょう。

美登利より、信如宛て
龍華寺後継者の聡明な信如。吉原遊郭の大黒屋、才色兼備の美登利。育英舎で学んだ似合いの幼馴染みと随分冷やかされたものです。私の家の門に水仙の造花が差されていました。それを何故だか懐しく思い、一輪差しに飾りましたのよ。やはり貴方だったのですね。吉原きっての遊女である姉を誇りに思っていた私が、姉以上の花魁になれた今、心残りは在りません。再びの邂逅を一日千秋の想いでお待ちしております。御機嫌あそばせ。

信如より、美登利宛て
あの橋の上に花魁道中が差し掛かった時の事です。見物客に紛れ、錫杖を携えた雲水姿の私に気付いた貴女の驚いた顔の、何と美しかった事か。絢爛豪華な襠しかけ打掛も霞んで見えるほど、その表情に釘付けになりました。今宵子の刻、あの橋の上で待っています。現世とは異なる世へ行ける道筋である、かの地で。野に咲く水仙の花々が、私達の愛の逃亡を助けてくれる気がして心強いです。貴女の為ならば教えに背き、道を棄てても構わない。

(終)


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冒頭『娼婦に誠あり』一葉日記より
物静かな文人の義侠心

「天地間のものはすべて平等であり公平であって…(中略)それなのに人間世界ではつまらない階級などを作り出して、貴いとか賤しいとか言っている。娼婦にも誠はあるのです。」
「救いたまえとすがられしも縁なり。東女(あずまおんな)はどんな物か、狭けれどもこの袖の陰に隠れて、とかくの時節をお待ちなされ。」

一葉の文字の美しさの評判を聞きつけた、大阪から身売りされてきた若い酌婦が、一葉の家に逃げ込んできた。追手から匿うとトラブルに巻き込まれる危険があったが、一葉は迷うことなく彼女を助けた。物静かな文人であるイメージの樋口一葉の、芯の強さが垣間見えるエピソードである。女性差別への憤りを日記に刻んだ。社会の底辺にあり懸命に生きる人々の姿、心の美しさを知り、それこそが自分が書くべき“人の真心”であると気付いたのだ。


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【シナリオ形式】
ハコ書き
起:ファーストシーン
・遊女美登利の花魁道中
・この日を迎える感慨、決意

承:状況説明・伏線
・花魁を一目みようと群がる見物客たち
・美登利が遊女、信如が僧侶になる経緯
・花魁道中の見物客に紛れる信如

転:クライマックス
・信如に気づき驚く美登利
・二人の邂逅、再会
・心情の吐露、覆される互いの決意

結:余韻・期待(起の逆)
・美登利の失踪、信如の棄教
・愛の逃亡、野に咲く水仙の花

人物:
美登利 みどり(年齢不詳)花魁
信如 しんにょ(年齢不詳)僧侶


美しい表紙で読みたい たけくらべ

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○吉原遊郭の大黒屋・正面玄関
ある晴れた日の朝。大黒屋の前の人だかり。物珍しそうに見物する人々。
美登利のN「決められた定めと知りつつ…」
禿や振袖新造を引き連れ、遊女の美登利(年齢不詳)の花魁道中がはじまる。

○ある町の通り
(音曲を奏でる楽師ら。花魁道中の曲が流れる)
美登利のN「恥ずべきはこの身だと。汚泥にまみれ、それが己の生き方だと……」

○ある町の通り
花魁を一目見ようと見物客が群がる。町内を練り歩く一行。
美登利のN「娼婦に誠あり――花魁道中、ひと花咲かせてみせましょう」
踵の高い下駄を鳴らし、堂々と闊歩する美登利。

○ある橋の上
花魁道中が通過。錫杖を携えた雲水姿の信如が、見物客に紛れている。
信如に気づいた美登利が、一瞬驚く。
一輪の水仙の花をもつ信如。美登利が見えなくなるまでじっと見つめている。

刹那、信如のほうへゆっくりと視線を流し、美登利が微笑む。
野に咲く水仙の花。一面に咲き乱れている。


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美登利のN「蝶よ花よともてはやされど、生気のない同じ顔、籠の鳥たち。大人の世界」
美登利のN「それが恋だと気づかぬ内に」
美登利のN「あなたは行ってしまった」
美登利のN「聖と俗。永遠に交錯することのない世界に身を分かつ二人」
美登利のN「何も言わず、水仙の花を置いていったあなた」

美登利のN「幾つの腕かいなに抱いだかれ永遠とこしえの闇を過したことでしょう」
美登利のN「華やかな檻。隙間から差す月光。手折られた水仙にわが身が苛まれる」
美登利のN「好きだと言えぬまま」
美登利のN「あなたがくれた水仙の花を胸に生きていきます」
美登利のN「儚い浮世の世界で………」

信如のN「俗世界に身を染める僧侶のわが父を恥じながら……」
信如のN「僧になる宿命さだめの私にとって、それは青天の霹靂」
信如のN「無常な時間ときの流れ」
信如のN「凛々しく美しい、無垢な人」
信如のN「水仙のような女性ひと」
信如のN「切れた下駄の鼻緒」

信如のN「姿をみせず恥じらう君」
信如のN「子どもの不器用な恋」
信如のN「今では手の届かぬ世界のあなた」
信如のN「ひと目会いたいと思うのは罪でしょうか」
信如のN「黄色の水仙、花言葉――『愛に応えて』。想いに応えたかった」
信如のN「『私のもとへ帰って』――もうひとつの花言葉に託して」
信如のN「二度とは会えぬ人と知りながら………」

(終)

文:writermiyu

2015.06.01 移転
2024.01.13 公開
2024.02.16 更新



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